今のJ-POPの状況を一言で言うなら「9割方ガラス玉ばかり売っている宝石店」というところでしょうか。
以前は宝石とガラス玉の割合が6:4かせいぜい5:5だったのに、今は1:9、下手すると0.5:9.5くらい。しかもその5%の内訳が「'70~'80年代からのベテラン組4%+それ以降組1%」という。
でもこれもご時世なんでしょう。確かに宝石と違ってガラス玉の方がはるかに安いので入手しやすいし、扱いは簡単だし、飽きたら惜しげもなく捨てられるから良いのかも知れません。 まさに100均アクセサリー。
だからこそ、ガラス玉の山の中に埋もれながらもその光を曇らせることなく、一際まばゆい異彩の輝きを放つ宝石を見つけ出せた時の嬉しさはひとしおなんですけれども。特に、'70~'80年代のベテラン組以外の宝石を見つけ出せた時の喜びは。
さて。
J-POPという名の宝石店にはもうひとつ、美しさや色彩こそ本物の宝石には及ばないものの、独特かつ個性的な味わいで魅せ楽しませてくれる、半貴石という石もごく少数ですが扱われています。これは「音楽を生業としていない人達が出した歌」のことで、寺尾聰さんのアルバムなどはここに該当するでしょうか。
今回はそんな個性豊かな半貴石の中からこの歌、ビートたけし『TAKESHIの、たかをくくろうか』をイチオシします。YMOの三人がそれぞれピアノ・ドラム・E.ベースで録音に参加しているという噂のある曲ですが、確かにこの音は教授っぽいかもしれません。教授、好きな人のために演奏する時にはピアノでも感情篭った演奏するので。
試聴はこちらでどうぞ。

アーチスト:ビートたけし
メーカー:ビクターエンタテインメント株式会社
発売日:1995/10/27
初動:枚
累計:枚
メディア:CD
初回盤特典:
曲目:
BIGな気分で唄わせろ(作曲:大沢誉志幸)
ハード・レインで愛はズブヌレ(作詩・作曲:大沢誉志幸)
OK!マリアンヌ(作曲:鈴木キサブロー)
CITY BIRD(作詩:山川啓介)
TAKESHIの、たかをくくろうか(作詩:谷川俊太郎/作曲:坂本龍一)
抱いた腰がチャッチャッチャッ〔CHA CHA CHA〕(作詩:大津あきら/作曲:大沢誉志幸/編曲: 井上鑑)
哀しい気分でジョーク(作詩:大津あきら/作曲:大沢誉志幸)
ポツンと一人きり
I'll Be Back Again…いつかは(HIROKIこと松方弘樹とのデュエット)
I FEEL LUCKY
ロンリーボーイ・ロンリーガール
四谷三丁目
BOY~if I'm 17
嘲笑(作曲:玉置浩二)
GOD BLESS YOU~神の御加護を~
勇気を出して…
|
スローバラードの名盤である『TAKESHIの、たかをくくろうか』は、木曜深夜1:00に放送されていた「ビートたけしのオールナイトニッポン」の第何期目かのED曲でした(後には「ハイサイおじさん」に交代)。
そして8月最後の放送は、たけし軍団呼んで「東京音頭」で大盛り上がりのうちに終了、というのがいつものパターンでした。
深夜とはいえ、2時間たっぷりたけしの本音トーク&ギャグ&ネタの嵐で、眠くなるヒマが全然ありませんでした。きつかったのはむしろ、ラジオが始まる1:00までの時間をどう乗り切るか? の方という。
木曜深夜はまず第一部のこの番組を聞いて、第二部の「谷山浩子のオールナイトニッポン」OPテーマの「てんぷら☆さんらいず」を聞いてから寝るのが習慣になってました。
というわけで、今回の曲語りは秘蔵のテープ「ビートたけしのオールナイトニッポン」を聞きながらお送りします。
いやー今聞いてもおもろいですこのラジオ。爆笑しちゃってキーが打てない(笑)
毎回毎回、第一部OPテーマの「BITTERSWEET SAMBA」までのトークが長いんですよね。すぐOPテーマに行っちゃったりしない。中も長くて終わりも長い、とにかく120分最初から最後まで濃いトークでいっぱいでした。
たけしのトークももちろん、リスナーが送ってくるハガキも負けじと面白いものがいっぱいでした。「ハガキ職人」という言葉も、この番組から生まれたような。
さて、せっかく番組聞きながら書いてるんですから流れに沿って第一部OPテーマをお届け。
ハーブ・ アルパート&ザ・ティファナ・ブラスのアルバム、Whipped Cream & Other Delightsから 「Bittersweet Samba」。
しかし真夜中だってのに異常にハイテンション(笑)トークのスピードも全然落ちてないのが凄い。
構成作家の高田文夫さんの的確な合いの手もいいですね。ホームズに対するワトソン。これがあったから、たけしも思う存分飛ばせたわけで。
ともあれ今かかってるテープのことは置いといて、オールナイトニッポン思い出話など。
ほとんどのネタはたけしのしゃべりや高田さんのツッコミ、その場の雰囲気があってこそなので、文字に起こしても面白さが減少しなさそうなもののみセレクト。
ラロトンガ島生中継事件
たけしが映画「戦場のメリークリスマス」撮影のため、南海の孤島・ラロトンガ島に行っていた時のANNでの話。
「今日は海底ケーブル敷いてラロトンガ島から生中継ー!」とブチ上げて放送したことがありました。
まあ海底ケーブルは嘘でも、どうやら衛星中継かなんかしているらしく放送はノイズだらけで、2時間の間なんども中継が途切れる始末。
ラジオの前のリスナーはいつもの毒舌トークを飛ばすたけしの元気そうな姿に安心しつつ、不安定でいつプッツリ切れてしまうか分からない中継にハラハラしながら番組を聞いていました。
そしてあと数分で放送も終わるという2時50分。突如スタジオにたけし乱入!
「ずっと隣のスタジオにいたんだよ!」と(笑)
この頃ラロトンガではまだ撮影が続いていたために、たけしの一足早い帰国を知らなかった多くのリスナーが引っかかった事件でした。
教授うなぎ事件
たけしがラロトンガ・ロケのおもしろ話のひとつとして紹介したエピソード。
南海の孤島・ラロトンガでのロケゆえ長期間美味しい食事にありつけず、仕方なく他の俳優やスタッフと「東京の○○のギョーザはめちゃくちゃ美味いぞ!」「何言ってやがる、浅草の○○のギョーザ食べたら美味すぎて死ぬぞ!」などと食べ物談義ばかりしていた時のこと。
なんと、はるばる日本から うな重の差し入れがありました。
美味しい食べ物に飢えていた彼らはさっそくうな重を堪能したんですが、そこへ撮影のため宿舎へ遅れて帰って来た教授が「俺のうなぎがない!」
「俺のうなぎが、俺のうなぎが!」と涙ぐみながら大騒ぎする教授のため、みんなで手分けして何とか一つだけ残っていたうな重を探し出し、教授に渡すと、教授は「こんな美味いもの食べたことない」と泣きながら食べたそうな。
「バカ役者」謝罪事件
「役者バカ」というコピーでCMやってた役者さんのネタを話していた時、つい盛り上がりすぎて 「何が役者バカだ、このバカ役者!」。
言われた役者さんが大物だったので、あーこれは謝罪入るかなと思ったら、案の定CM明けにたけしの謝罪が入りました。
まあこれに限らず、謝罪が多い番組でした。そのほとんどがネタが行き過ぎてのものでしたが。
劫(こう)の話
インドには劫(こう)という時間の単位があるそうです。
家くらいの大きさの岩(実際には一辺約20kmの岩)を百年に一度天女が羽衣でひと撫でして、その岩が摩擦で磨り減ってなくなるまでの時間が一劫なんだとか。
宇宙の始まりから終わりまでかかってしまうようなそれをただの「一劫」としてしまう、そういう単位を想定してしまう、その壮大さをしきりに賞賛していました。
火曜の22:00からが教授のサンストなら、木曜の1:00はたけしのオールナイト。
リスナーから募集したデモテープに教授が批評を加える「デモテープ特集」や、実際に作曲の過程を聞かせてくれる「電気的音楽講座」など濃い音楽の話いっぱいだった教授のサンストと同じように、たけしのオールナイトも濃ゆいギャグが詰まった2時間でした。
最後に、今でも忘れられない印象的な話をひとつ。大分うろ覚えになってしまいましたが。
「こんなに宇宙は広くって、俺達みたいなのがいる星もたくさんあるかもしれないのに、俺達は他でもないこの地球に生まれた。
その地球だってこんなに広くって、ほかのどの国に生まれていてもおかしくないのに、俺達はこの日本に生まれた。
人類が誕生してから今まで何百万年もあって、どの時代に生まれていてもおかしくないのに、俺達は今のこの時代に生まれた。
そして今この瞬間、俺達はこのラジオで繋がっている。
生まれた星が違っていたら、生まれた国が違っていたら、生まれた時代が違っていたら、今この瞬間ほかのことをしていたら絶対に会わなかった俺達が今、この瞬間に会っているんだ。
これはもう『奇跡』と呼ぶしかないだろ?」
----------------------------------