アポロガイストを追って時空を超え、南 光太郎(仮面ライダーBLACK RX)が守るRXの世界から別の世界へと飛んだ門矢 士(仮面ライダーディケイド)は、そこでもう一人の南 光太郎(仮面ライダーBLACK)と出会う。クライシス帝国がまだ大ショッカーに組していないRXの世界とは違い、この世界ではゴルゴムが既に大ショッカーの傘下となっていた。
倒しても倒してもきりがない。一体いつまで戦い続ければいいのか……そんな弱気を口の端に乗せた光太郎に、士はRX世界の光太郎の言葉を伝える。
―――自分は仲間のためなら一生戦い続ける、と。
RXとBLACK、二人の異世界ライダーの力を借りて、アポロガイストからパーフェクターを奪い返し夏海を蘇らせた士は、RX世界の光太郎に霞のジョーがBLACK世界に閉じ込められてしまったこと、そして、BLACK世界でも戦い続ける仲間―――BLACK世界の光太郎―――がいると言っていたことを伝える。自分がもうRXの世界に二度とは戻れないと知った霞のジョーは、BLACK世界の光太郎と共に戦う道を選んだのだ。
離れていても、ずっと仲間だ―――RX世界の光太郎は相棒の決意を笑って受け入れながら、旅を続ける士を見送ったのだった。
―――
■BLACK光太郎×BLACK RX光太郎
仮面ライダーはアマゾンまでしか見たことない自分でも、ワクワクしながら見ることが出来た回でした。BLACK光太郎とBLACK RX光太郎の共演という設定の豪華さもさることながら、倉田てつを氏の存在感、氏自身の内面にある「南 光太郎」というキャラ設定の確かさが、物語に厚みを与えていたような印象を受けました。
ストーリー自体は「アポロガイストからパーフェクターを取り返して夏海を蘇らせた」というだけの、それこそ5分もあれば終わってしまいそうな薄いものでしたし。
しかし、比べちゃいけないんでしょうがやっぱりディケイドオリジナルキャラってスカスカのペラペラですねえ……役者さんがキャラを把握しようにも、そもそもの「キャラ設定」そのものが出来ていない(話ごとにキャラの性格がコロコロ変わったりしてますし。特に海東)ためにキャラ作りが出来ず、かといって独自のキャラ設定を構築するまでの時間も話も無く(放映期間が通常の半分の上にほぼ全てゲストライダー主役でオリキャラを掘り下げる時間がない)、仕方がないのでその回に割り当てられたセリフと演技を場当たり的にやるしかない、という雰囲気がありありと伝わってきます。
役者さん方はみんな一生懸命やっているのが伝わってくるだけに、それだけに制作側がキャラをしっかり構築出来ていれば……と残念でなりません。
■霞のジョー
今回の話で、RXの世界の光太郎が探し続けていた相棒の霞のジョーが恐らくは大ショッカーの罠によってBLACKの世界へ飛ばされ閉じ込められてしまったことが分かりました。
RXの世界の光太郎は戦いのパートナーを恐らくは永久に失ってしまったわけなんですが、結果からいえばこれでよかったのかもしれません。
パラレルとはいえ、BLACK世界の光太郎はRXへと変化する前の、まだ年若い光太郎。士に吐いた弱音にも、彼の未熟さが伺えます。
離れていても、同じ志を胸に抱いている限りずっと仲間だ―――揺らぎ無くそう言い切れるRXの光太郎よりも、時に弱気になってしまうBLACK光太郎の方がより切実に相棒を必要としていた、だからこそ、霞のジョーはBLACKの世界に引き寄せられ、そしてこの世界の未熟な光太郎を支えつつ戦い続ける道を選んだのかもしれません。
■海東は本当に邪魔なだけの不要キャラなのか
おもちゃの販促のためだけに無理矢理ねじ込まれたんで、制作側も持て余してます感がバリバリの海東。
最近ではとみにその傾向が増して来ていて、今回の「BLACK×BLACK RX」編では遂に、居なくてもストーリーに何一つ破綻も不足も生じない―――パーフェクター横取りの下りがなくても話はスムースに繋がる―――単なるお邪魔&不要キャラになってしまっていましたが、それじゃあんまりなので海東の存在意義についてちょっと考えてみました。
新しく来た世界の解説役
新しい世界に到着したばかりの士たちに、その世界の説明や今起こっている出来事などを伝える。
士たちよりも以前から各世界を巡っている海東だからこそ、不自然さを感じさせずにこなせる役目。
鳴滝か、その世界のライダー自身でも同じ役目がこなせるのではと言ってはいけない。
赤鬼に対する青鬼役
高飛車な俺様で言葉遣いも乱暴で、普通ならなかなか信用されにくい士というキャラをゲストライダー(及び視聴者)に受け入れさせるためのあえての憎まれ役兼、士たちを裏からサポートする役。
海東がゲストライダーに対して尊大にふるまったり攻撃したりして彼らに不快感を与え、そこに現れた士がゲストライダーをかばい守ることによって、ゲストライダーの士に対する信頼感が生まれる―――ちょうど、昔話の「泣いた赤鬼」で、赤鬼と村人を仲良くさせるためにわざと村人をいじめた青鬼のように。もしくは、藤子不二雄の「憎まれ屋(宇宙の長旅の最中、人間関係の破綻による破滅的な事故を防ぐために、『共通の敵が存在すると団結する』という人間普遍の習性を利用したビジネスとしての憎まれ役)」。
色もディケイドがマゼンタ(≒赤)でディエンドがシアン(≒青)だし。
つまり、海東はディケイドという話にではなく、士たちにとって必要なキャラだというわけです。
555世界ではタクミを攻撃し、アギト世界では奪ったG4チップについて長々と蘊蓄を垂れ(いつもなら奪ってすぐに逃げるのに!)、電王世界ではモモタロスを物扱いし、シンケン世界ではシンケンジャーたちを激高させ、ネガ世界ではケータッチを横取りし、BLACK世界では人質の子供ごとアポロガイストを撃とうとする。
結果、それをかばった士は555世界ではタクミの、電王世界ではモモタロスの、ネガ世界では(ディエンドが落としたケータッチを夏海が士に渡すところをネガ世界の夏海に見せることで)ネガ世界の夏海の、BLACK世界では光太郎の信頼を、そしてユウスケはアギト世界で八代の信頼を得ることが出来ました。
シンケン世界だけはちょっと特殊で、海東が折神を盗むことで士と彼ら全員との早い面会を果たさせた上でわざと煽って激高させ、キレた夏海が一気にトーンダウンさせることで彼らにちょっと負い目を持たせることで、本来生真面目な彼らには受け入れがたい士の俺様キャラを抵抗無く受け入れさせることに成功しています。
響鬼世界では召喚したモモタロスを士に追い払わせることで斬鬼流・威吹鬼流それぞれの師匠に士を信頼させ、さらに響鬼とアスムを裏切ることで二人の信頼をも士へと向ける……はずが、牛鬼の乱入やアスムの海東への信頼が殊の外強かったこともあって、いまいち上手く行かなかったようですが。
ストーリー上必要とされなくても、士たちと世界との橋渡し役という重要な役目を担っている海東。
その行動は非道で非情で我侭勝手なものばかりですが、それでもなぜか憎めないのは海東が心底から腐った悪人ではない―――もしも根っからの悪人だったなら、ヒビキさんが大切なアスムを彼に託す訳がない―――ことと、そして何より、海東役を演じている戸谷氏が海東がただ憎たらしいだけのキャラにならないよう、士たちのことを思いやりながら演じている(ブログから推察)ためなのかもしれません。
んじゃあとついでに
■海東が士にだけ執着する理由
これの推測は簡単。
もともと友を作る性格ではない=他人に心を開かなかった海東が、唯一信頼していた14。そして、心の拠り所(というか自分の存在全て)としていた兄の純一。
しかし14は海東の信頼を裏切り、更には捕われの身となった兄を洗脳してしまった。
14と兄、心を預けられる人たちを一度に無くしてしまった海東は、正真正銘のひとりぼっちとなって世界をさまよっていた。そんな時に出会ったのが、初めて友と呼べる存在―――海東自身には「安心してちょっかい出せる相手」以上の自覚はないにしろ―――となった士だった。
だが、時に反発し(馴れ合いを嫌うところから)、時に共闘しながら(RX世界での士へのかけ声から)、海東自身に取って着かず離れずの好ましい関係を続けていたところ、ある日突然士が記憶喪失となり自分の前から姿を消してしまった。……
こう考えると先週の「僕を見ていてくれ」という謎のセリフも理解出来ます。精神的に未発達(兄に依存していたため?)な海東に取って、今でも士は初めての、そしてたった一人だけの「友」だから、これほどまでに執着しているのでしょう。
まるで、せっかく手に入れた大切な宝物を奪われまいと必死で抱え込んでいる子供のように。
また、今回の謎の行動―――一度は士から奪ったパーフェクターをまた返しに来た―――も、自分の存在を誇示したくてパーフェクターを奪ったのに、士はパーフェクターを取り返しに後を追いかけて来ずに夏海のもとへ行ってしまったので、自分にとってもはや不要となったパーフェクターを士のもとへと届けに来たのだと解釈すれば腑に落ちます。
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